神紋・寺紋の推定(2)

鎌倉時代以降皇室紋として定着(明治以降,十六八重菊は皇室公式紋)

十六菊

十六菊

皇室縁の神社が八重菊を避けて使用。

生出森八幡神社(里宮),宇那禰神社(芋沢)


陰菊輪に丸に金文字

菊輪に金文字

金蛇水神社の独自紋でしょうか?

金蛇水神社(一番町)


菊輪に右三つ巴

菊輪に右三つ巴

鹽竈神社
※本家である塩釜市の鹽竈神社紋は桜ですが…


十五菊に桜

十五菊に桜

全国の護国神社には菊と桜を組み合わせた神紋が多いそうです。

宮城縣護國神社


三体星

三体星

天台宗の宗紋

光圓寺,満願寺


牡丹

富貴の象徴・百花の王。藤原嫡流5摂家筆頭の近衛家・鷹司家の正紋。 近衛家と歴代宗主の関係から「抱き牡丹紋」は浄土真宗大谷派の宗紋(東本願寺の寺紋)でもある。また,伊達氏も4代綱村が近衛家から牡丹紋を拝領し家紋としている(5代吉村が手を加え仙台牡丹/蟹牡丹とした)

八つ葉牡丹

八つ葉牡丹

東漸寺


長寿で繁殖力が強いこと,藤原氏が繁栄したことの験。藤原氏ゆかりの一族の多くの使用紋。日本五大紋の一つ

下り藤

下り藤

奈良春日大社の神紋:藤原氏の氏神を祀る。

春日神社(覚性院丁)


西六条下り藤

西六条下り藤

浄土真宗本願寺派の宗紋:西本願寺の寺紋(明治36年以降)=宗主縁戚の九条家からもたらされた「九條家下り藤」の変形。

祐善寺,恩慶寺,専能寺,稱覺寺


東六条八つ藤

東六条八つ藤

浄土真宗大谷派の宗紋:真宗分裂前からの九條家との縁から牡丹紋と並びよく使用される。 同様に本願寺派には「西六条下り藤紋」と共に使用される「西六条八つ藤紋」がある。

東漸寺,冷源寺


藤巴

左三つ藤巴

戦国武将黒田官兵衛の黒田氏定紋。かつての仕官先小寺氏からの下賜。

春日神社(北材木町)


輪宝

古代仏教七宝の一つ→仏法の象徴

輪宝

輪宝

愛宕神社(愛宕山)


行者輪宝

行者輪宝

延命地蔵堂(北五十人町),三瀧山不動院,毘沙門天王(郡山),毘沙門堂(荒町),大徳寺


行者輪宝2

行者輪宝2

三居沢大聖不動堂


奈良時代から使用される古い幾何学文様。伊勢神宮,住吉大社の神紋

花菱

花菱

見瑞寺


丸に花菱

丸に花菱

仙台大神宮


京都賀茂神社の神紋

徳川葵(三つ葉葵)

徳川葵

徳川氏の専用紋:賀茂神社の有力氏子で八幡神後裔を自称した松平氏(徳川氏の前身)による賀茂神の葵と八幡神の巴の融合。

東照宮,仙岳院,正円寺,常念寺,常林寺,大法寺,桃源院,久近寺,報恩寺,願行寺,照徳寺


片喰

カタバミの雑草とも認識される繁殖力から紋は子孫繁栄を意味する。優雅な文様として平安鎌倉の時代からよく用いられた日本五大紋の一つ。

蔓葵片喰

御嶽三吉神社


杏葉

西域伝来の装飾馬具文様。豊後大友氏の代表紋

月影杏葉

月影杏葉

浄土宗の宗紋:宗祖法然の出自(大友氏の一族)の家紋を基に定められた(大正4年)。

久近寺,慈恩寺,照徳寺,正円寺,成覚寺,常念寺,常林寺,大法寺,浄土寺,昌繁寺,報恩寺,願行寺


古代より熊野神社に仕えた穂積氏,鈴木氏の代表紋。神に捧げた稲穂の束を表す。伏見稲荷の神紋でもある。

折敷

折敷(おしき=三方)を上から見た文様→神職の紋

折敷に三文字
(隅切り角に三文字)

折敷に三文字

瀬戸内海大三島の大山祇神社(大三島宮)神紋=奉祀の越智氏家紋,時宗の宗紋:宗祖一遍の出自家(越智氏の一族)家紋。

真福寺,阿弥陀寺


輪違い

複数輪が交錯する文様

輪違い

輪違い

真言宗豊山派の宗紋:総本山長谷寺の寺紋。

満蔵寺


古代からの重要な衣料・薬の原材料が文様となった

丸に麻の葉

丸に麻の葉

青麻神社


インド由来の吉祥印

左卍

左卍

善入院観音堂


長寿のシンボル・百木の長

丸に光琳松

丸に光琳松

高砂神社
※ホントに光琳松か,ときつく問われても困りますが,確かに現地の遷宮記念碑(石碑)に刻印があります。(写真で確認。現存します!)


秋保神社紋

秋保神社紋

三階松紋の一種だと思いますが,2・3階とも根元まで松が描かれています。また,通常の三階松は縦一列ですが左右対の二列というのも稀有。 秋保神社の独自紋だと思います。秋保領主の秋保氏の紋(三階松)に起因するものと思われます。

秋保神社


鷹の羽

古来より武人の象徴。江戸時代には120もの大名旗本が家紋としていたという。日本五大紋の一つ

丸に違い鷹の羽

丸に違い鷹の羽

冷源寺


古代から熊野神社に仕えた穂積氏,鈴木氏の代表紋。神に捧げた稲穂の束を表す。伏見稲荷の神紋でもある

左廻り一つ稲の丸

左廻り一つ稲の丸

「左廻り一つ稲の丸」の中でも特殊なもので,「京都伏見稲荷大社紋」と呼称するものもあります。

ただ,伏見稲荷の正式な神紋は「抱き稲紋」です。

吉窪神社



家紋は戸々の家のものであり,当然その家の人に聞けばどのような紋かは分かるはずですが,何分にも奥ゆかしいのでそこまではできず, 現地や写真での検分をもとにしています。既出名鑑などで既に整理公開されているものもあるとは思いますが調査もしていないので, そのため間違っている可能性も大ですが,その場合はどうぞ遠慮なくご指摘下さい。

 

 推定に当たっては,以下の①~⑦に掲示されている紋を当該寺社の定紋と見做すことにしました。複数ある場合は下記①~⑦の順に優先付けし, 三つまでを採用しています。
  ①公式HP・リーフレット等広報資料,御守・御朱印帳等授与品
  ②神輿
  ③社殿(本堂),山門の正面扉またはその上部,鐘 ※社殿=神社の本殿・拝殿(境内社や境内小堂等は含まず)
  ④境内碑・案内板・掲示板
  ⑤社殿内または社殿(本堂)前の賽銭箱
  ⑥祭典時などに社殿(本堂)に付けられた奉納紋幕や境内提灯
  ⑦寺社名入りの幟
 また,以下⑧~⑪にも多くの紋が見られ,定紋と推察できるものも多数ありますが,同時にここに付けられた紋には堂宇建設等に功績のあった有力支援家顕彰や, 巴紋のように火難除けの等の意味を持たせたものも多いと勝手に推測しました。複数ある場合は定紋との分別が不可能なので,一種しかない場合に限り参考にしました。
  ⑧向背破風・拝飾
  ⑨屋根頂部の大棟
  ⑩屋根破風・妻飾
  ⑪鬼瓦・屋根瓦・降棟の留蓋 等々…
 なお,竹に雀紋(仙台笹)は商標登録により使用には申請が必要らしいので,ここでは定紋と推定できた場合でも言及していません。